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ガラ公演「トスカ」 Royal Opera House 

日本ほど成功している社会主義国はないと言われるほど日本は無階層の社会だということを良く耳にする。それに比べてヨーロッパにはまだ根強く序列階級意識が残っているという。文化の歴史においても日本は庶民文化といわれるものが大変洗練され芸術の域に達しているのに対し、ヨーロッパでは芸術と呼ばれるものはあくまで上流階級のみに握られてきたということだ。

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Royal Opera House, London

同じヨーロッパでも現在はこれといった特権も無いフランスの世襲貴族に比べ、イギリスでは今でも貴族階級と支配階層が一致しているようだ。ロンドンでの最後の夜にイギリスの上流社会を少し覗かせてもらえるイベントに連れて行っていただいた。昔は上流階級の社交場であったロイヤル・オペラ・ハウスでのガラ公演である。女性はイブニングドレスが多く男性はタキシード姿も混じっている。私達4人は着物姿で対抗した。私の着物は浅黄色の絽付け下げである。

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このガラ公演の直後にこれこそまさにイギリスの社交界の大イベントである英王室主催のアスコット競馬が開催されていたようだ。正装に帽子着用が義務付けられている。西洋では競馬は単なるスポーツやギャンブルとしてでなく音楽や絵画などの主題として取り上げられており競馬場は19世紀から上流階級の社交場としての役目も果たしている。

hermes(1).jpg Prix de Diane Hermès. Hippodrome de Chantilly

競馬といえば毎年6月の第2日曜日に開催されるフランス・パリ郊外のシャンティイー競馬場のディアンヌ・エルメス杯(Prix de Diane Hermès)に去年お呼ばれしたのを思い出した。このイベントも男性は上着、女性は帽子着用とドレス・コードがあり、女性達はアスコット同様、帽子の美しさを競い合う。実は何を隠そう、私はこのエルメス杯に生まれて初めて自分の着付け姿で出掛けたのだ。自分の着付けで外出できるようになった一周年をめでたくもロンドンのガラ公演で椿姫さん達と迎えた事になる。

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hermes(2).jpg Prix de Diane Hermès. Hippodrome de Chantilly

ヨーロッパの階級制度に話しを戻すが、江戸時代の日本で総人口の5~6%が武士であったのに対し、革命直前のフランスでは僧侶・貴族は総人口の0.5~0.6%であったという。このほんの一握りの特権階級のために残りの無名の庶民たちが働き、芸術文化を作り上げていったのだと思うと少し複雑な気持ちである。
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ロンドン美術館巡り 

残念なことに私は計画性のあまりない方である。今回も計画性のないままドーバー海峡を渡り、ウォータールー駅に着き、ホテルのアドレスを忘れたのに気づいたのはチューブに入ってからであった。

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こんな私でさえ、とても有意義にイギリスでの時間を使えたのはひとえにロンドンの友人達と、今回初めてお会いしたロンドンの椿姫さんのお陰である。誘っていただいた歌舞伎とオペラはもちろん、レストランやアフターヌーン・ティー、美術館などにもご案内いただいた。4日足らずの滞在で大小6つの美術館を巡った計算になるが、その中でも前から気になっており今回初めて足を踏み入れ、すっかり気にいった2つのコレクションがある。

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Courtauld Gallery, Somerset House

ウェストミンスター地区にあるコートールド・ギャラリーは1932年に実業家のサミュエル・コートールド氏の個人コレクションを元に設立されている。コートルードはまだフランス印象派があまり注目されていなかった頃に絹織物業でなした財をもとに第一級の作品を集めイギリスにおけるこの分野の開拓者と称されるらしい。「鑑賞とは作品との対話であり、絵が話しかけてくるまで。」 とはコートルード氏の言葉だそうだが本当に自分の感性に響く作品としっかり見詰め合った結果生まれた無駄のないコレクションである。

この日は歌舞伎の時と同じ絽に青磁色の夏帯を締めたのだが、コートールドで知らない方に「この帯の柄はなんというお花ですか?」と質問され、答えられずに赤面してしまう。

このギャラリーはかつては内国歳入庁であった18世紀築のサマセット・ハウス内に設けられており、噴水が備えられた中庭には冬になるとアイススケートリンクが設置されるらしい。椿姫さんと訪ねたその日は京都顔負けの猛暑。小さい子達が噴水の間を駆け回っていたのがとても絵になっていた。

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The Wallace Collection

マンチェスター・スクエアという小さな公園に面したジョージアン様式の洋館にハートフォード侯爵家5世代にわたるコレクションが入っている。1897年、第5代目にあたるリチャード・ウォーレス卿の未亡人によって「1品たりとも変えない」ことを条件にお屋敷ごと国家に無償で遺贈されたウォーレス・コレクションである。ある一家族の住んだ家でその家族が収集した芸術品の数々を見られるというのはとても個人的な境界にお邪魔しているような気になるものだ。実際第3代目侯爵の愛人達を描いたミニチュア肖像画もコレクションに混じっていたり、一番作品収集に熱心であったパリ育ちの第4代目侯爵の肖像画は一枚もなく、人前に出るのを嫌った性格が伺えるようだ。

コレクションはこの4代目侯爵が主に集めた18世紀フランス絵画、陶器を中心にヨーロッパの巨匠の大作が揃っておりハートフォード侯爵家の財力と確固たるセンスが見事に結晶している。ここまでのフランス芸術の作品群をパリ以外で一度に見られるとは想像もしておらず、とてもいい意味で驚きであった。

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wallace(2).jpg The Wallace Collection

規模の大小に関わらず、見ごたえのある美術館とそうでないものがあるが、この比較的小規模な2つはもちろん両方とも前者の方である。部屋を去るのが惜しいほど見つめていたい作品が多く、出てきた後にふと現実にもどったような錯覚にとらわれる場所である。

今回改めてイギリスの国立美術館入場無料制度の良さを実感した。公園のように公共の場として美術館が存在するイギリスでは美術館の定義自体が、美術館に対する認識自体が異なるような気がする。どこの国でも真似できるシステムではないのだろうがまったく羨ましい理想的な形である。

Courtauld Gallery コートールド・ギャラリー
Somerset House, Strand, London WC2R ORN
Tel: +44.20.7848.2777
http://www.courtauld.ac.uk

The Wallace Collection ザ・ウォーレス・コレクション
Hertford House, Manchester Square, London W1U 3BN
Tel: +44.20.7563.9500
http://www.wallacecollection.org/
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