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美人 麗人 佳人 粋人 

ここ数年、私の周囲はすっかりベビーブームだ。そこでいつも感心するのが子供の名前を選択する際のフランス人の淡白さである。

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フランスでは最近まで子供にはキリスト教の聖人の名前をつけねばならないという法律があった。カレンダ-にはカトリック法王庁が定めた聖人の祭日が毎日書き込まれており、自分のファ-ストネ-ムと同じ聖人の祭日を第2の誕生日として祝う習慣がある。名前の規制がなくなった今、外国の名前を取り入れたり、創造したりする傾向も少しは出てきてはいるらしいが突飛な名前が続出している日本とは程遠い状態であり、最近の赤ちゃんの名前も大半が聖人のものだ。これが個性を重視するとされるフランスと出る釘はなんとかと言われる日本なのだから面白い。

元来の日本の名前の付け方はとてもいいものだと思う。苗字とのバランスを考え、縁起のいい画数を考慮に入れながら漢字を選び想いを込める。去年、姉のお腹が大きかった間に広辞苑を片手に姉と頭を捻ったのは楽しい思い出である。候補に挙がった女の子の名前を眺めながら女性の褒め言葉の話になった。

今年96歳になる義祖母いわく古くから女性を褒める表現に『美人、麗人、佳人、粋人』の4つがあり、美人は幼い時、麗人は年頃、粋人は年配の女性を賞賛する言葉で、佳人は最も広くに女性を愛でる際に使うということ。「美」は羊+大で大切な家畜である形のよい大きな羊、「麗」は鹿の角が綺麗に並んだ姿、「佳」の「圭」は土を形良く積んだ形、そして「粋」は小さい米が綺麗にそろって混じりけのない様子をそれぞれ表した会意文字であるらしい。

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語源を見る限りすべて「容姿が優れた」ということだが、それぞれの言葉の違いを知りたいと思い、手元の国語辞典を開いてみた。しかし美人、麗人、佳人は同義語のようにしか書いていない。「佳人薄命」ともいうらしく「深窓の佳人」は「深窓の麗人」となってもいいらしい。イメージとしては「麗人」は育ちの良い華やかさを、「佳人」は聖人君子的な高い風格を、「粋人」は垢抜けた色気を兼ね備えている「美人」という感じか。

無事に決まった姪の名前は「京佳(きょうか)」である。家族の京都とのゆかりはもちろん、「京」は高台の家を表す象形文字で人が集う場所を意味するという。沢山の人が集まる姿も心も美しい女性になって欲しいという姉の想いが込められている。姉は名前を「親から子への最初の贈り物」だと言っていたが本当に大切にしたい初めての誕生日プレゼントである。

写真は去年のBABY SHOWERの友人に生まれたMaïaちゃん。現在6ヶ月。
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パリで映画館になったお寺の話 

パリの首都としての歴史は京都や奈良のそれよりも古く長いが、現在誰もが思い浮かべるパリ市の景観の歴史は以外に浅いものである。19世紀半ばまでのパリは日の当たらぬ袋小路に住居がひしめき合い、汚物は道へ、汚水はセーヌ川へといった非衛生きわまる中世都市であったという。

1magprint1.jpgLe Printemps

ナポレオン3世の統治下、セーヌ県知事であったオスマン男爵(Georges Eugène Baron Haussmann 1809~91)が1853年から1870年の間に着手したのがパリの大改造である。約2万戸の古い住居を容赦なく撤去するという手荒い方法であったようだがわずか17年の間に進められた貧民街の一掃、街路の拡張、直線化、広場の造成、上下水道の整備、公園の建設、街灯の増設、橋の建造により、パリは近代都市へと生まれ変わる。

この近代的空間に新しい建物が次々と姿を現し、文化と経済の繁栄が謳歌されたベル・エポック(意:美しき時代)の舞台が完成されていく。この時代の建造物は鉄骨構造とガラス天井が特徴であり、グラン・パレやオルセー美術館、パリの百貨店などは今でもその面影を色濃く残している。

0406_bonmarche(15).jpgLes Galeries Lafayette

ガラスの天窓に吹き抜けの大空間、エッフェル塔をデザインしたグスタブ・エッフェル氏が担当した鉄筋構造などの最先端の建築技術をいち早く駆使したのがパリ左岸にあるル・ボン・マルシェであるが、この百貨店が最先端であったのは建築技術だけではない。値段交渉が主流であった19世紀に現在のデパートの姿である入店自由、定価表示、通信販売、商品配達、返品可、バーゲンなどの販売方法を導入し、接客態度や商品ディスプレイに気をくばり、店員の福利厚生を確立したのはすべてル・ボン・マルシェ創立者であるブシコー氏(Aristide Boucicaut 1810-77)が初めてであるらしい。世界初の百貨店の誕生である。

0406_bonmarche(7).jpgLe Bon Marché

ル・ボン・マルシェをモデルにした小説『ボヌール・デ・ダム(意:ご婦人方の幸福)百貨店』の中で著者のエミール・ゾラはデパートの事を「浪費の狂気に捧げられた神殿」と呼んでいる。産業革命が進み、安価で質の良い商品が流通し、ガラス窓とガス灯により明るく照らされた近代的空間に流行の品々が美しくディスプレイされた。買い物が必要なものから楽しむものに形を変えた時代である。

この世界最古のデパートの支配人モラン氏がある面白い買い物をしている。ル・ボン・マルシェからロダン美術館へ行く道を散策していて突然現れる東洋のパゴダに驚いた人もいるかもしれないがこれはモラン氏が妻へのプレゼントとして購入した日本のお寺である。1895年にパリで再建されたこのお寺は当時流行していたオリエンタリズムをテーマにした社交会場として活用されていたらしい。1931年に映画館として改装され、現在にいたっている。
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0406_bonmarche(6).jpgLa Pagode

パリが熟しきっていた19世紀末、日本美術に心酔した芸術家や文化人がいた。ジャポニズムといわれる流行である。その当時コレクター達は競って日本の芸術品を購入したようだが、ここまで大胆な個人での買い物も少なかったのではないだろうか。日本生まれのこの建物は現在パリで映画館として親しまれ、重要文化財として保護されている。

La Pagode パゴダ映画館
57 bis, rue de Babylone 75007 Paris
Tél : +33.1.45.55.48.48

Le Bon Marché ル・ボン・マルシェ
24, rue de Sèvres 75007 Paris
Tél : +33.1 44 39 80 00
http://www.lebonmarche.fr/

photos: Thames & Hudson
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