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ファルス(Farces)と狂言と 

モーツァルト生誕250周年を祝い今年は世界中でモーツァルト作曲のオペラやコンサートが目白押しのようであるが、もちろんパリも例外ではない。戯曲は1786年にパリで初演されたという「フィガロの結婚」を観に行った。このオペラは音楽があまりにも美しいので崇高なイメージを与えるが内容は限りなく浮世のものであり、ある種のドタバタ喜劇なのであろう。この日は土曜日であったので幸い着付けの方はいつも程にはドタバタせずに済んだ。

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17世紀のフランスでは、モリエール、ラシーヌ、コルネイユなどによる喜劇が人気を集めていたという。1680年、ルイ14世の勅命により、モリエールの劇団を中心にコメディ・フランセーズが結成され、現在も活動を続けている。継続している劇団としては世界最古であるらしい。この自主公演の歴史を守ってきたフランス唯一の国立劇団が初めて海外の劇団を招待することになり、日本の「狂言」茂山家が選ばれたという新聞の記事を目にした。

「西洋ではファルス (Farces 意:笑劇) の技術、スタイルは失われたが、それを今も引き継ぐ狂言を見ることで、自分たちの伝統を再発見できる」と、記事にはコメディー・フランセーズの言葉が引用されていた。来年の春、フランスのファルスを飯沢匡氏が狂言化した「濯ぎ川」と、古典の「棒縛り」を上演予定だという。

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picture.jpgLa Comédie-Française(Salle Richelieu)

毎年春になると会員になっている劇場から来シーズンのプログラムが載ったカタログが送られてくる。チケットを先一年分まとめて予約するためである。アボンヌモン(abonnement)と呼ばれるこのシステムをここ数年パリ・オペラ座に2人分申し込んでいるが、あれこれ相談しながら演物をピックアップしていくのは楽しい作業だ。その上、去年からは劇場のカタログを見ながら「このバレエにはあの着物が似合いそう」、「このオペラの頃にはお仕立てに出しているあれが出来上がっているかも」という具合である。

オペラ・ガルニエでは「和泉式部日記」をベースにしたオペラと市川家の歌舞伎公演があるらしい。さっそくチケットを予約し、今から帯合わせが頭の中で渦巻いているのは言うまでもない。

La Comédie-Française
2 rue de Richelieu 75001 Paris
Tél: +33(0)1.44.58.15.15
www.comedie-francaise.fr
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パリ寄席におけるフランス人の想像力 

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(桂歌丸、パリ日本文化会館)

誰の特にもならない気の使い方をしてしまう癖がある。先日パリ日本文化会館へ落語を聞きに行ったときも案の定そうであった。

落語芸術協会によるパリ寄席興行。縞の着物に絞り染帯を合わせ、日本女子ばかり5人で賑やかに出かけた。会場のほとんどはフランス人である。そこで私の心配が始まる。「日本語を母国語としない人に日本芸能の良さは正確に伝わるのか。」という不安。「彼らは退屈しないで、ちゃんと楽しめるのか。」という思い。今回はたまたま落語であるが歌舞伎のときも能楽の場合も心配の種は同じである。

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もちろん好んで寄席に足を運んでいる人達である。私などよりも日本語が達者で日本文化に理解の深い外国の方も多いのであろう。通訳としていらしていたパリ国立東洋文化言語学院のPascal Griolet教授などはまさにそのようなフランス人の一人である。

それにしてもある程度目だけで楽しめる他の日本伝統芸能と違い、落語はやはり言葉が根幹を成している。道具は扇子と手ぬぐいだけを使い情景を作り上げるため聴衆の想像力が重要な役割を持つ。噺家の芸が上質になると「演者が消える」という。

言葉、すなわち日本語が基礎的要素である落語はやはり難しすぎるのではないか。日本の風習を知っていて初めて身振りと語りだけから情景を想像できるのではないのか。最後の席が始まった時、私の心配はとても深刻なものになった。電子版に打ち出されるはずの仏語字幕がいつになっても出てこないのである。ハラハラする私の事などつゆ知らず、皆さんは礼儀正しく桂歌丸師匠の席を見ていた。

小さなやましさを胸に抱えつつも3席の落語と色物をしっかり満喫したのだが、公演の最後に技術的ミスを詫びながらちゃんと落ちをつけたGriolet氏の締め方がなかなか見事であった。「どうぞお許しくださいまし。皆様の想像力を信頼しておりましたので仏語字幕はわざと消させていただきました。」

*寄席演目
落語「そば清」桂歌助 
落語「紙入れ」三笑亭茶楽 
紙切り 林家今丸 
落語「しり餅」桂歌丸

photos: Maison de la culture du Japon
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